2話
ぼくちょっと変わった存在だと思う。
最初は必要とされ、喜ばれるから人間の元にやって来るのに、
"さよなら"をする時はもっと喜ばれる。
他の皆はお別れする時に悲しんでもらえるのにぼくはそうではない。
人間は勝手だと思う。
ぼくらは人間に必要とされているからこの世に生まれ、頼まれたから
やって来たというのに厄介払いされる時はあまりに唐突で一方的だ。
それだけじゃない、長い道のりを歩んでやっと主人に出会えたと
思っても人によっては一日だけしか使わないこともあるようだ。
用が済んだら物置の奥の方にしまわれるか、処分されてしまう。
本当に短い現役生活。終りはあまりにもあっけない。
「補助輪なしでも乗れるようになったの! すごいね〜」
人間が大喜びするこの言葉、ぼくにとっては死刑宣告でしかない。
「ねぇ、自転車さん。君はいいね」
「そうかな?」
「そうだよ。だって君はぼくがいなくなってからもいろんな所に
行けるじゃないか」
「……。確かにそうかもね。
でもぼくは君のことをうらやましいと思うことがあるよ」
「からかうのはよしてよ」
「からかってなんかいないよ。どうして君はそんなに卑屈になるんだい? 出来ないことを探すより
、君しか出来ないことを探した方が きっと楽しいと思うけどな」
「ぼくしか出来ないこと? そんなことあるはずないじゃないか」
「そんなことないよ。実際君がうらやむ僕だって今は君がいないと
何処にもいけないじゃないか」
「"今は"でしょ。結局ぼくは脇役ですぐに用済みになる存在だって
言いたいんでしょ」
"ぼくにしか出来ないこと"そんなことあるはずないじゃないか。
自転車さんには補助輪の気持ちなんかわかりはしないんだ。
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