1話
"どう? 似合ってる?"
"うん、いいんじゃないかな"
"そう? じゃあこれにしようかな"
ある日、僕は今まで慣れ親しんだ場所から離れることになった。
ある日、オレの住む環境はガラリと変わった。
"やっぱし、Yシャツにネクタイすると引き締まるね。いい感じだよ"
鏡に映る男、そしてそれを見守る女性。
男はまだ初々しく、少し窮屈そうにしている。
"そうかな? 確かに服装が変わると意識も変わるっていうか、なんか身が引き締まるね。じゃあこれにしようかな"
そして今まで全く別の環境にいた2人は出会った。
暗い、暗いクローゼットの中で出会った。
「初めましてこれからよろしくお願いします」
Yシャツは、丁寧に頭を下げてネクタイに 挨拶をした。
「どうも」
ネクタイはちょっとぶっきらぼうだけど、
軽く頭を下げそれに応えた。
2人は一緒になることで一人前。
協力しあって一人前。
「あのネクタイさん。この待機室って凄く暗いですね、今までいた場所とは大違い」
「店は照明があったから」
「ところでネクタイさん。私達、結構頼られてますよね?」
「……、俺らも新人には変わりないのにな」
社会に出ることになった人間とそれを支える2人の心は不安でいっぱい。
見るもの全てが新鮮で興味深い、でも少し恐ろしくもある。
そんな物が周りにいっぱい。
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