2話
社会人としての最初の一歩、"あいさつ"。
"本日から一緒に働かせていただく……"
あの日揃えたYシャツとネクタイを身にまとっての"あいさつ"
周りを見渡せば、先輩が沢山。
男にとっては人間の先輩、Yシャツとネクタイにとっては着飾りの先輩。
細身のスーツを着ている人は胸を張り堂々としていて、ネクタイは派手な花柄。
少しうつむき気味で申し訳なさそう人のYシャツはシワがよって、少しお疲れ気味。
でも皆が2人よりも立派に主人を着飾って、良郎の挨拶に注目している。
「ネクタイさん、あのYシャツ見てください。ブランド物ですよ」
「あぁ、こっちはノーブランドなのにな」
「あの人のネクタイは、僕なんかよりも格好良くて清潔感があるように見える」
「なあ、Yシャツ。それより良郎の胸の鼓動がとても速くなっている」
「本当だ、つい他のことに気を取られて気が付きませんでした」
「俺らは確かに安物かもしれない、でも主人は俺らを選んでくれたんだ、少しでも力になってやろう」
「そうですよねこの鼓動、御主人も不安でいっぱいなんだ。こんな時こそ僕ら支えてあげないといけませんよね」
良郎を着飾る2人は、力を合わせ良郎を助けようとする、それが彼らの務め。
「少しでも動揺を誤魔化すようにしないとな。俺はしっかり首につかまることにする。少しでも引き締まった男に見えるようにさ」
「ちょっとネクタイさん待ってください、御主人が少し苦しそうですよ」
「しまった少し力みすぎたか……」
首を絞められた良郎の顔色は少し青ざめて汗も吹き出してきている。
"ちょっと大丈夫、顔色悪いよ"
"はい、すみません"
"そうか初日だもんね、緊張してるんだよね"
2人は一所懸命、でもちょっと空回り。
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