4話
「ただいまー」
「どうだった? 山登り」
「うん、面白かったよ。景色も凄かった、家とかが本当にちっちゃく見えるんだよ。普段あんなに大きい物なのに、こんなに小さく見えるんだよ」
……。
「そう、良かったわね」
「そうだ、遊ぶ前にお弁当出しておきなさいよ」
「はーい」
……。
「ちょっとトシ、飲み物全然のんでないじゃない」
ほら来た、そうなんですよ奥さん。ガツンと言ってやってください、
時にはちゃんと叱ることも大切ですよ。
「何のためにこの新しい水筒かってあげたと思っているの? 今日のためでしょ。あんたがどうしても欲しいというから買ってあげたのに」
「だって、お母さん」
「だっても、かってもありません」
おお、いい勢いですよ奥さん。その調子です。
「だから、おかあさん。そのお茶ね、熱かったよ夏なのに」
「えっ!」
「この暑い季節に山登りしたんだからさ、熱いのはとても
飲めなかったよ」
おっおくさ〜ん!!
「あらっごめんね。お母さんうっかりしちゃったみたい。でも暑い中、
熱いものを飲むのもいいものよ」
「ぼくはそんなのイヤだよ」
「そうね、じゃあまた今度ね」
奥さん、たのむぜ奥さん。
ぼっちゃんの言う通りだよ。おれ頑張って保温しちゃったよ。
精一杯、力の限り保温してしまったよ。
「重いだけだったよ。その水筒」
ぼっぼっちゃん……。
それにしても、あっしの一番の売りの保温機能が仇になるとは……。
泣けるぜ。
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