ふりーものづくり所 かえると万年筆


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みつるの消しゴム 第1話



1話

ちょっと聞いてくれよ、
いや正確に言うと俺のことじゃなく主人のことなんだけどさ。
そう、俺の主人のみつるのことさ。

あいつ俺を買ってくれたのはいいけど
全然使ってくれないんだぜ。
文房具屋でみつるが俺を手にとってくれた時はさ、
それはそれは嬉しかったよわけよ。
あの瞬間のことは今でも忘れないさ。
やっとこの世界から旅立てるんだなって。
工場から文房具屋に来たのはいいけど、
あんまりいい所じゃないのよ、実際さ。
よく言うじゃんか、理想と現実のギャップ?
なにより狭いし、それに来る客、来る客に
愛想良くしなくちゃいけないだろ?
それに加えてさ、いつも俺にまとわり付いている
ビニールの奴がさ、これがもうね……。 うざったいのよ!
紙のケースはいい奴なんだけどさ。
あいつ見かけによらずに結構やさしくてさ、
何時も俺を気遣ってくれるのよ。
「キツクはないですか?」とかさ。 なぁ、いい奴だろ?
でもビニールのヤローは、気遣いの1つもないね。
あのヤロー何がなんでも離れようとしないのよ。
産まれた時は付いてなかったのに出会った瞬間にこれだぜ。

おっとごめん、つい愚痴ってしまった。
ちょっと話を戻そうか。

そう俺はみつるに買ってもらった『消しゴム』なのよ。
みつるが手にとってくれた時は、
やっとビニールを剥がして外の世界を見せてくる人が
現れたと思ったね。
これで俺も一人前になれるって、
今まで格好悪いかなって思って表には出さないでいたけど、
内心うれしくて狂喜乱舞よ。
みつるは中学生なんだけどさ、
今年、入学したばっかりなんだけどね。

そうだこの歌しってるか?
チャンチャン「ぴっかぴっかの1年生」
あっこれは工場でよく聴かされていた音楽なんだけどね。
もう耳にタコが出来るほど聞かされてたんだよ。
とにかく俺が言いたいのは、みつるは1年生ってことなんだよ。
それでさ、みつるは学生なんだから
当然俺の出番たくさんあると思うべ?
こいつはいい主人に恵まれたなって、
運命を感じたもんだったよ。

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