3話
"しんしんしん"と日は暮れて。
外はまっくら、"ホーホーホー"。
ちこは小さな手で眼をこすり、まぶたは開いて、閉じてを繰り返す。
体はふらふら、ふらついて。頭は重くて落っこちそう。
母親はちこを抱きかかえ、ふかふか布団へお連れする。
"どんぶらこ、どんぶらこ"。
母の腕はゆりかごで、ちこはゆっくり眼をつぶる。
小さな体をふかふか布団で包み込み、電気を消せば出来上がり。
くーくー。聞こえる、小さな寝息。
ちこが気持ちよく寝ていると、そろりと忍び寄る黒い影。
「へっへっへ。なにも知らず寝てやがる」
スヤスヤと寝ているのをいいことに、元気な奴がいる。
黒い翼に黄色いツノ。そろりそろりと足音立てずに近づく黒い影。
「今がチャンスだ」
ちこのひざ小僧に迫る影。
「あなた誰?」。だけど立ちはだかる者がいる。
「お前こそ誰だ?」
「私は、ばんそうこう。ちこちゃんを守っているの」
冷や汗"ダラダラ"、黒い影。その正体はバイキンだ。
「ちょっちょっと、おじょうちゃんが心配で見に来ただけさ」
「そうなのありがとう。ちこちゃんは今寝たところよ」
「そうか気持ちよさそうに寝ているな」
くーくーくー。ちこはぐっすり、寝ているぞ。
「俺は傷口がどうなっているか心配でわざわざ来たんだ。ちょっとそこをどいてくれないか?」
とぼけるバイキン。悪いヤツ。ここを通すと大変だ。
「でもここは誰も通せないことになっているの。ごめんなさい」
「そう言わずにさ」
詰め寄るバイキンに困ってしまうよ、ばんそうこう。
すると気付いた変なとこ。黒いヤツのへんなとこ。
「ねぇ右手に持っている物はなに?」
バイキンの右手には、傷口をグチュグチュにするための黒いヤリ。
「こっこれは、悪いヤツを倒すためさ。傷口に悪いことをするヤツをね」
「嘘つき」
怒り出す、ばんそうこう。バイキンに詰めより問い詰める。
「本当にあなたが守る側だったら武器なんて持ってないはずよ。
私達はどんな時でも武器は使わない"キマリ"だもの。あなた、本当はちこちゃんを心配して来たのじゃないわね?」
「うるさいヤツだ、そこをどけっ」
正体を現したバイキンは「ここを通せ」と黒いヤリで威嚇する。
「ダメッ」
だけど、ばんそうこうも負けはしない。黒いバイキン突き飛ばし、
ちこのことを守り抜く。
「ちくしょう、おぼえてろ」
敵わないと思ったバイキンは、ササコラッサと退散だ。
静かな夜に響くのは、ちこの気持ちよい寝息だけ。
くーくーくー。くーくーくー。
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