2話
サンタは子どもが欲しがっているものを交渉屋にたずね、クリスマスまでにプレゼントを用意し、クリスマスに再びやってくる。プレゼント交渉するのは家によってさまざまで、それはくつ下だったり、ロウソクだったり、煙突だったり、マクラだったり、お皿だったりする。
サンタはただ単にプレゼントは何がいいのか聞きにくるわけではない。子どもが一年間いい子でいたかとか、子どもが望むプレゼントはその家庭に適しているかとか、そんなことを交渉屋に聞きにくるのだ。
一番大切なのは子どもが『いい子でいられたか?』なのだが、サンタとの交渉が上手ければプレゼントも良い物がもらえる可能性が増す。
そう交渉屋の腕の見せ所なのだ。
ツーリがごろうくんの家にやってきた最初の年。サンタはすばらしいプレゼントをくれた。それはごろうくんが大好きな車のおもちゃだった。
実は交渉屋の一年目とは特別な年で、サンタはこれから頑張っていく交渉屋のため、よほどのことがない限り子どもが喜ぶ物をプレゼントしてくれるのだ。
そのため二年目からが交渉屋の『本当の腕の見せ所』なのだが、ツーリはその大事な二年目を失敗してしまっていた。敗因は簡単なものでツーリにはごろうくんの字が読めなかったのだ。
去年のクリスマスが近づいたある日、ごろうくんは『欲しいものを書いた紙』にひもをつけてツーリにぶら下げた。それはお母さんに教えてもらったプレゼントの お願いの仕方だった。
紙をぶら下げ満足そうなごろうくんに、お母さんが「ごろう、サンタさんに何をお願いしたの?」と聞くと。ごろうくんは口を両手で隠し「内緒だよ」とちょっとイジワルそうに、でもとってもうれしそうに答えていた。
ツーリはごろうくんが寝た後に紙に書かれたことをそっと見たのだが、そこに書いてあったのは、お母さんでさえ読むのが大変な字。そんな字をツーリは読むことが出来なかったのだ。
去年の二十五日。カラフルに包装されたプレゼントを開けた後のごろうくんの泣き顔はツーリの心にしっかりと焼きついていた。
サンタが下見にやってくるまで、ツーリはごろうくんがどう成長してきたのかじっくり観察した。
この一年でごろうくんは心も身体もとっても大きくなっているようだった。
去年はお母さんに読んでもらうだけだった絵本を一人で読むこともあった。
自分で洋服を脱いでいた。
この前なんてお母さんの肩をたたいていた。
ごろうくんの成長をみたツーリは、気を引き締め、「今年こそは」と意気込むのだった。
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