ふりーものづくり所 かえると万年筆


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交渉屋ツーリ第4話

4話

 テーブルの上にはご馳走がひとつ、またひとつと並んでいく。
 ごろうくんは、お父さんが帰ってくるのが待ちきれない様子で、イスに座って足をブランコのようにぶらぶら動かしたり、ツーリのヒゲを触ったりしている。
 「ただいまー」
 その声を聞いたごろうくん、玄関までとても走るほど長くないのに、イスから勢いよく飛び降りて、走ってお出迎え。
 たのしく、あたたかく、お腹一杯になる時間のはじまりだ。
 ツーリはそんな家族だんらんを一緒に過ごしながらも、夜が深くなるにつれて
不安になってくる。

 今年はごろうくんが喜ぶ顔がみたい。サンタさん、お願いします。

「サンタさんが来るまで、ぜったいに起きているんだ」と自信満々だった
ごろうくんだったけど、お腹一杯になって、あたたかいふとんに包まると、
いつのまにか夢の中へ。

 みんな寝てしまって、少しだけ寂しい部屋。
 ツーリはサンタがやってくるのをひとり待つ。
 今年、ここにいられる最後の夜をかみしめながら待つ。


「メーリークリスマス、ツーリ」
「メーリークリスマス、サンタさん」
 サンタは下見のときと違って、大きな袋をかついでやってきた。
 ごろうくんも、ツーリも、お父さんだって、お母さんだって、なんだって入ってしまうくらい大きな白い袋だ。
 サンタは、その白く大きな袋からひとつ、カラフルな包みを出してツーリに差し出した。
「中身はなんですかサンタさん? ぼくはちゃんと役目を果たせたのでしょうか?」
「ツーリ、残念だけど中身は言えないんだよ。楽しみは朝までとっておくんだね」
 ツーリはカラフルの包み紙をじっと見つめ、夜が明けるのを待つ。
 中身が『ごろうくんの大好きな物』であるようにと祈りながら……。

「ごろう、サンタさんが来たよ」
 お母さんの声がして、ごろうくんはいつもよりちょっぴり早く目を覚ます。
 まだ目をこすって眠そうなごろうくんだったけど、お母さんの声を聞くと、
いそいでツーリのもとへ、タッタッタ タッタッタッ。
 ツーリの足下にあるカラフルな包みを見つけると、飛びついて、ビリビリと包みをやぶっていく。ツーリは胸のドキドキにたえられなくて、一瞬目を閉じてしまったけど、勇気を出して、まぶたを開き、ごろうくんの表情が変わっていくのをしっかりと見たのだった。


「もう少し、置いておいてもいいじゃん」
「でもクリスマスは終ったでしょ?」
「ちぇっ、また来年会おうね、ツーリ」
 ツーリが押入れに帰っていく。ごろうくんはその様子を残念そうに口をとがらせて見ている。
 両手でとっても、とっても大切そうに、絵本を抱えながら……。


おわり

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